沼津港の目の前で約40年間、喫茶店として使われていた場所を、建築デザインスタジオ兼コーヒーショップとしてリノベーションし、私たちの活動の拠点としている。

沼津港は日本一深い湾、駿河湾に面しており年間約160万人が訪れる観光地である。その目の前で事務所を構えるにあたり、オフィススペースとして使うだけではなく、私たちが活動をしていくにあたり日々の生活の中で地元の人もたまたま訪れた観光客もほっと一息つきながらコミュニケーションが取れる場所にしていきたいと考えていた。

オフィススペースでありながら表向きの顔はコーヒーショップ。

「休憩がてらコーヒーを飲める場所」という認識を持たれるくらいがちょうど良いと考えた。

具体的な改修内容としては、アール天井やアーチ型の窓など当時の喫茶店としての可愛らしい面影を活かしつつ、内部の壁や天井は全て同色とし陰影感のある仕上りとすることで、洞窟の中にいるような、包み込まれるような空間体験となることを目指している。
店舗の顔であるカウンターは、空間を引き締めるために重厚感のある色味にし、表面には凹凸を付けている。
部分部分で元喫茶店らしい表情をあえて誇張するような作りとすることで、懐かしさと新しさのバランスを調整している。
また、家具などの什器はお客さんが席に座りながら、自然とカウンターに向かって会話をしやすいようなレイアウトとなるように意識した。

1杯のコーヒーをきっかけに、

たまたま居合わせた人と会話をしたり地域の知らなかった情報に出会える、日々の生活の中でフランクに建築の話もできる、そんな空間になっていくことを願っている。